「ガラス屋根のモール広場・Bugis Junction」シンガポール・パブリックスペース訪問レポートvol.1
赤道直下の東南アジア、シンガポール。近年、アジアを中心に観光開発が著しく、さらなる高みを目指しています。
日本でも真夏のパブリックスペース活用はなかなか厳しいですが、一年中30度を超えた高温多湿の気候で、パブリックスペースをどう活用しているのか、現地に行ってきたので、複数編に渡ってレポートしたいと思います。
オアシスのようなガラス屋根付き広場

「ガラスの屋根付き広場」と聞くと、日本での代表例は、富山市グランドプラザ。あるいは類似している、二子玉川ライズや浜松市のソラモもあります。今回紹介する「ブギス・ジャンクション」は一部が日本の屋根付き広場事例と似ています。どんな空間になっているのか、ご紹介しましょう。

中に入ると、大空間にもかかわらず、キンキンに冷えたエアコンで外との気温差は10度ほど。東南アジア独特の屋内冷やしはまるでオアシスのように涼しく、その中は建物の街並みのようなファサード。エメラルドグリーンの窓のある街並みが特徴的な、T字型のアーケードモールになっています。
子どものゲームゾーンとモバイルマーケット
全体の構成は、ガラスの屋根の下に、商業施設に挟まれた屋内アーケード・ストリート型の広場。両側の施設は所々上空でデッキで繋がれ、施設間を移動することができます。広場上空には大きな広告やフードコートや飲食店のテラス席も。ショッピングモールの典型的な作り方ではあるのですが、屋根付き広場も広場幅が狭くなるとモールに非常に近くなるという発見でした。

どのような使い方をしているかというと、真ん中の人工芝のゾーンでは、テーブルサッカーゲームをしている子供たち。勝負に夢中です。

その後ろでは、お父さんたちが高級時計の展示を見て物色している。この日は、TAG Heuerのショーケースとテーブルサッカーゲームのセットのブースだったようです。子どもが遊ぶのにつられ、大人は時計を見るというセットですね。商業施設でよくやる手です。

そして、商業施設によくある催事スペースのモバイルマーケット。商品の量には圧倒されますね。使えるスペースはここまでかと言わんばかりにとことん使われています。

使われていないマーケットはこのような形でどこか可愛らしいモバイルリアカー。パカッと4面を開くと、商品を飾るスペースができるよう。

アイスバーがクリティカルな休憩と涼みのスペースに!

違うゾーンにいってみると、アイスバーが。購入してみると、すぐにアイスは溶け始めます。エアコンがキンキンに冷えていても、暑さが厳しいですね。こうゆう暑い環境かだと、日陰だけではなく、冷たいドリンクやアイスが決定的に人を寄せ付けます。

ちなみに、ガラス屋根の外は、水のある広場もありますが、暑すぎて日陰にしか人はいませんでした。うーん、厳しい暑さです。

ちなみに、内部のショッピングモール内は、アトリウム空間にカフェがあり、涼しい中で人が集っています。

ジャンクションというだけあって、ウズのようなアトリウムですが、シンガポールの気候では、アトリウム空間は憩いのスペースであり、凉みのスペースとして重要な要素であることを身をもって体感しました。

シンガポールは1年じゅう30度を超え、湿度も70%ほどでした。赤道近くで日も強く、暑い環境下でのパブリックスペースの活用は日本の夏の活用にも少し参考になることもあるかもしれません。今後もその点を続編でお伝えします。
photo by Rui IZUMIYAMA
- この記事を書いた人 泉山 塁威
- 都市戦術家/Placemaker/日本大学理工学部建築学科 准教授・都市計画研究室(泉山ゼミ)主宰/一般社団法人ソトノバ共同代表理事・編集長/博士(工学)/認定准都市プランナー/1984年北海道札幌市生まれ。 専門は,都市計画・都市デザイン。都市経営,エリアマネジメント,パブリックスペース,タクティカル・アーバニズムやプレイスメイキング,ウォーカブルシティなどの研究・実践・メディア運営に関わる。
